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落命した烏骨鶏

今日、9月17日、
当農園の一羽のメス烏骨鶏が落命しました。

今日は卵の出荷日で、普段なら朝に烏骨鶏は全て運動場へ放すのですが、運悪く他のスタッフも大事な用件で外出中で、しかたなく烏骨鶏は鶏舎に入れたまま朝のエサやりだけして、出荷のルート配送へ出ました。

午前中には戻れる予定だったのですが、少々の買い物などもしたせいで、農園に戻ったのは昼の12時少し過ぎた頃。
天気は雲が多いものの、その合い間から陽が射しており、鶏舎の中の烏骨鶏はスタッフの姿を見るや否や「出せ出せ」の大合唱です。

すぐに鶏舎の扉を開けると、烏骨鶏達は我先にと重なり合うように、あるものは勢い良くバタバタと羽ばたきながら、あるものはおどけるように蛇行して左右に走り回りながら、喜び勇んで一団となって外へ飛び出して行きました。
その様子は、まるで小学校低学年の子供を海水浴や遊園地へ連れて行って、「さあ、めいっぱい泳いで(遊んで)おいで」と言われた時の嬉しさで弾ける子供の様子とそっくりです。

ところが、一羽だけ鶏舎の隅に残っている烏骨鶏がいました。

何をしているのかと様子を見ると、くちばしを地面に付けてフラフラよろめいています。
「地面の虫でも食べているのかな?」と思っていたら、その場にうずくまって動かなくなってしまいました。

「産卵するのかな?でも産卵の体勢とは違うな。フラフラしてるし・・・」と思っていたら、
体の羽毛を風船のように丸く膨らませて座り込み、両側の翼はダラリと力なく大きく垂れ下がり始めました。

この時点で、初めて事態の緊急度に気付きました。
これは、怪我や病気で死にそうな状態の鶏に特有の症状だからです。

すぐに抱きかかえると、鶏は既に思っている以上に深刻な状態で、目を強く閉じてハアハア言っており、いかにも苦しそうな表情です。
体にまったく力が入らず、羽や足はダラリと下がり、すでに危篤に近い状態でした。

しかし、原因が全く判りません。
原因が判らなければ、対処や治療法が判りません。

すぐに動物病院へ連れて行こうかと思ったのですが、過去にも烏骨鶏の怪我で動物病院を探した事があるのですが、車で一時間以内の病院に十軒ほど電話したものの、そのほとんどは犬や猫や小鳥しか扱ってくれず、ニワトリを診てくれる病院は一軒だけしかありませんでした。

その時はそこへ連れて行ったのですが、たった1分ほど軽く触診しただけで後は何もしてくれず、高額な料金だけ取られました。その際にかなりの不信感を持たされました。
それに、いま運動場へ出したばかりの他の烏骨鶏達は、運動する気が満々ですから容易には鶏舎へ戻りません。
それをすべて鶏舎へ仕舞ってから出かけるとなると、病院へ着くまでに一時間以上はかかりそうです。

今の危篤状態からすると、すぐに何か手当てをしなければ、一時間はおそらく持たないでしょう。
仕方なく、自宅のエアコンの効いた涼しい部屋へ移し、段ボール箱にタオルを敷いて寝かせ、水を与えましたが全く飲もうともせず、ますます苦しそうにしています。
首をめいっぱい伸ばして口を開け、「ウオェー」と何かを吐き出そうとしていますが、吐き出せないので苦しいという様子に見えます。

そこで、当農園の定番の万能薬として重宝している「ブラジル産プロポリス」を与えてみました。
過去、人間はもちろん、数々の烏骨鶏の怪我や病気に効果を示してきた優れものです。

烏骨鶏をタオルにくるみ、抱きかかえ、口を開かせてスポイトで1ccほど飲ませてみます。
しかし、その刺激の強い味に烏骨鶏は激しく暴れて、半分近くは吐き出されてしまいました。

原因を考えてみますが、つい二時間前まではなんともなかった訳ですから、この急激な劇症ぶりは病気とは考えにくいです。
何か異物を飲み込んだのか、それとも鶏舎内で止まり木等で腹などを打ち内臓が出血している可能性が考えられます。
もし異物なら胃が膨れているかもと思い、触診してみますが、胃はそこそこ膨れているものの硬い異物感は感じられません。

10分ほど寝かせてみましたが、さらに首をうなだれてしまい、一層目を強く閉じて苦しそうに顔をゆがませています。
そこでもう一度プロポリスを追加で2ccほど飲ませてみました。
今度は、既にもう力なくぐったりしているため、抵抗せずに飲ませることが出来ましたが・・・反応がほとんどありません。

さらに5分ほど抱きかかえて体をさすって声をかけてあげていましたが、もう首が力なくグラグラしてしまい、呼吸も絶え絶えです。完全な危篤状態です。

最後に、蜘蛛の糸をつかむ思いで三度目のプロポリスを飲ませようと、抱きかかえていた烏骨鶏の向きを変えようとしたところ、最期の力をふりしぼるかのように足を弱々しく二度ほどつっぱり、苦しそうにか細く鳴いたかと思うと・・・・そのまま動かなくなってしまいました。

大声で呼んだり、体をゆすったりしても、もう目を開けることもなく、羽や足が動くこともなくなりました。



本当に残念です。

養鶏をしていて、鶏が死ぬほど嫌な事はありません。



それにしても原因が判りません。
昨日まで元気いっぱいでしたし、今日も二時間前までなんの異常もありませんでした。

もし何かの病気だとしたら発症から死亡までがあまりにも急激過ぎます。
それに一緒に暮らしている他の烏骨鶏達には全く異常が見られず、普段どおりに元気すぎるほど元気にしています。
また、最初にプロポリスを与えた際に、暴れた弾みで糞をしたのですが、その糞は黒に近いこげ茶色できちんと固形状の完全に正常な糞でした。下痢糞や血糞ではありません。
念のため鶏舎の地面もすべてチェックしましたが、下痢糞や血糞は全くありませんでした。
顔もよくチェックしましたが、病的な涙や鼻水や涎も一切出ていませんでしたし、トサカや足もきれいで、肉も程よく付き、体重もしっかりとありました。
胃がそこそこ良く膨れていた事からも、直前までエサも元気に良く食べていたはずです。
ですから、少なくとも病死ではないと思います。

また、メスは鶏舎内でオスに追いかけられたり、メス同士の小競り合いで、走り回ったり、止まり木から飛び降りる際に、エサ箱や産卵箱の角に体をぶつけることがあります。
特に、体重のあるオス同士の喧嘩に巻き込まれ、勢い良く飛び跳ねたオスの下敷きになり、強く産卵箱の角などに柔らかいお腹がぶつかれば内臓は大きなダメージを受ける危険があります。
プロポリスを吐き出した際、吐血はありませんでしたが、肝臓などを損傷した場合は、吐血もないでしょうから、やはり内臓破裂の可能性は考えられます。
腹部を触ってもひどい骨折のような症状は見当たりませんでしたが、骨折しなくても内臓が深刻なダメージを受けてしまうケースはありえます。

また「異物を飲み込んだ」という可能性も強く疑われます。
鶏舎内は、ネズミ等が侵入しないよう壁と金網と屋根で完全に覆われていますので、外から異物が入り込む事は考えにくいのですが、運動場は網に囲われているだけで、屋根はありません。
また、広いうえに自然の地形のため完全に清掃できるとは限りません。

実際に、時々、運動場にいる烏骨鶏の口から何かがぶらさがっていると思うと、皮ひもの切れ端や、切れた輪ゴムが口からぶらさがっている事があります。
特に今回、10日ほど前の台風の強風でさまざまな小物が飛んできていたため、その中に何か危険なものがあったのかも知れません。
特に食べ物を包んでいたキッチンラップなどは、軽くて風に舞いやすいうえ、鶏は食べ物の味がするので飲み込んでしまいますが、消化されず腸をふさいでしまうため、非常に危険です。
もしかしたら、何日か前にラップ類か何かを飲み込んでいたのかも知れません。
飲み込んですぐなら吐かせる事もできたかと思いますが・・・・。

ただ、今回は胃がそこそこ膨らんでいた事から、直前までよくエサを食べていた(食欲があった)事から、胃腸の調子は良かったのだと思います。
ですから、やはり何かのトラブルで鶏舎内の硬い物に強くぶつかり、内蔵を損傷してしまった可能性が一番強く疑われます。
すぐに明日、鶏舎内の危険そうな箇所に緩衝材を設置したいと思います。


いずれにしても危篤状態でいるのを見つけてから、わずか30分ほどで落命してしまいました。
もう少し早く帰って来ていればと、強く悔やまれてなりません。
本当に残念です・・・・。


実は、このメスの烏骨鶏は、
特別な思い入れのある烏骨鶏でしたので、ショックも計り知れません。

2008年9月生まれですから、今月でちょうど三歳でした。
まだ三歳です。人間の女性で言えば20代半ば頃でしょう。

この烏骨鶏、実はちょうど1年前に、大きな怪我をしてしまい、流血もあり、もう少しで命を落とすところだったのです。
その時はすぐに発見し、すぐに傷口を手当てしてプロポリスを塗り、包帯で止血、室内に移しタオルを敷いた段ボール箱に入れて保温。
栄養価の特別に高い流動食を与え続けて、なんとか一週間ほどで無事に回復し、鶏舎へ戻る事が出来たのです。
その一週間ほどは、夜に何かあるといけないと思い、夜は段ボール箱を寝室に移し、すぐ横で寝ました。

烏骨鶏も頭が良いのか、普段なら一箇所にじっとしているのは非常に苦手なのですが、自分が大怪我をしていると良く判っているようで、まるで冬眠でもしているかの如く、段ボール箱の中で延々とジーッと動かずにいたのがとても印象的でした。

傷も回復して鶏舎に戻す際に、予後の経過を見るために、両方の翼と背中にマジックペンで小さく「紫色」のマークを付けました。
それからこの烏骨鶏の名前は「紫」(パープル)になりました。

仲間の中に戻ってからも、自分なりに大事をとっていたのかしばらくはとても大人しく消極的にしていたのですが、一週間もすると、自分で「もう大丈夫」と確信したのか、今までの数倍のエネルギーを発散して超ポジティブ元気な烏骨鶏に大変身したのです。
その大変身ぶりにスタッフ一堂が非常に驚きました。

運動場にオヤツのコーンや野菜を持っていくと、昔なら遠い場所にいてあまり存在の目立たない烏骨鶏だったのですが、回復後はぐいぐいと前に出て来て、必ず最前列に陣取るようになり、さらに一歩も二歩も積極的に前に出て来て、真っ先にエサを奪い取ります。
他のメスが手を出そうとすると、つっいて追い払ったり、すかさず横取りしたり、あちこち活発に飛び回り、どこでも元気に走り回り、それはもう本当に絶好調の大活躍。
いつしか農園内で一番目立つメス鶏になりました。

その、まさに生まれ変わったような、まるで別の鶏になったかのような、他の烏骨鶏の数倍のエネルギーを発散する超ポジティブ元気な躍動感ある鶏への変身ぶりは、まさに「死を目前にして助かった命、大切にしなきゃね!今まで以上に毎日元気でワクワク生きるよ!」と言っているようでした。

また、スタッフの顔を見ると、すぐに近づいてきて周囲をクルクル回ったり、足元へ寄り添ったりと非常に懐いてくれるようになりました。
それはまるで「ほら、見て見て、おかげでこんなに元気になったよー!」と報告してくれているかのようでした。


動かなくなってしまったパープル、すぐに心臓マッサージをしました。
大きな声で呼びかけながら・・・・。

しかし、本当に残念ですが、もう二度と目を開ける事はありませんでした。


そのまま段ボール箱に静かに寝かせ、お線香を一本だけ立てて20分ほど悲嘆にくれた後、包んでいたタオルを外そうとパープルを手に取ると、既に死後硬直が始まっていました。

横向きに寝かせていため箱の壁で首が曲がり、足も左右に開いた状態です。
そのような姿勢で硬直してしまっては、埋葬する時にも形が良くないですし、天国へ行ってからも何かと不便です。

そのため、首の向きを直そうと、背中を持って首を動かした途端、
「クック~~ッ」と小さな鳴き声が。

えっ!まだ生きているの!?
と一瞬非常に驚きました。

しかし、既に明らかに体は温かさを失い始めていますし、生きていた時の体の柔らかさもなくなり硬直が始まってしまっています。
すぐに、その鳴き声は背中を持って首を動かしたため、肺の中に溜まっていた空気が押し出され、声帯を振るわせたためと理解しました。

しかし、私にはまるでパープルが「さようなら・・・」と言っているように聞こえました。

涙があふれて来ました。
私も「さようなら」と、心の限り挨拶を返しました。


そして左右に開いたままの足を閉じようと、持つ手に再び力を入れると、再び、
「クゥ、ク~~ゥ」と鳴き声がしたのです。

その声は、まるで「今まで、本当にありがとう」と言ってくれているように聞こえました。
おそらく、本当にそう言ってくれていたのだと思います。

もう涙が止まりません。
私も「こちらこそ、美味しい卵をたくさん産んでくれて今まで本当にありがとう。これからは天国でゆっくり幸せに暮らしてね。」と、両腕でパープルを抱きしめて、心の限り挨拶を返しました。


姿勢を整えたパープルを箱に戻すと、まるで生きているようにしか見えません。
ただ大人しく座って、静かに休んでいるだけのようにしか見えないのです。


しかし、確実に、一羽のメス烏骨鶏が三年の寿命を全うして、

今日、天国へと旅立ちました。


明日、大好物だったスイートコーンと小松菜を添えて、

先立った仲間達の待つ場所へ埋葬してあげたいと思います。





ちなみに当園では鶏が歳を取って卵を産まなくなっても処分して肉にする事は一切していません。
また、過去に未熟児や事故で死んだ鶏はいますが、病死した鶏は一羽もいません。
すべて自然死です。そしてすべて土葬にしています。

鶏はもちろん家禽(家畜)として飼っている訳ですが、毎日触れ合っているうちに、中には単なる家禽の枠を超えて人間と意思や気持ちが通じ合うかのような、愛着の湧く素晴らしい鶏がいる事も事実なのです。

パープルは、間違いなくそんな素晴らしい鶏の中の一羽でした。


 
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